制作記録

【立ち上げ編 1】きっかけと、本物の地形をゲームに出すまで

  • 立ち上げ編
  • 地形

「立ち上げ編」は、このプロジェクトの最初のころに、運営チームがぶつかった苦労を紹介するシリーズです。1回目は、プロジェクトが始まったきっかけと、本物の土地の形をゲームの中に出すまでの話です。

きっかけは、木津川市メタバースプロジェクト

始まりは、4月中旬に、一般社団法人 山城青年会議所から「木津川市メタバースプロジェクト」の依頼を受けたことでした。

木津川市メタバースプロジェクトは、京都府木津川市を舞台に、子どもたちがつくった作品を Roblox(ロブロックス)の中で発表するイベントです。主催は山城青年会議所で、木津川市、一般社団法人 IKIZAMA、キッズアイティ合同会社が協力しました。

運営チーム(キッズアイティ)は協力の立場で、作品を置くための Roblox のマップづくりと、作品を置く作業の技術的な手伝い、ワールドの調整を担当しました。このイベントは、7月末に終わりました。

マップづくりで、最初に取り組んだことの一つが「土地の形」です。

本物の地形を、ゲームの中へ

木津川市の地図をつくるなら、山や谷、川のまわりの低い土地も、本物と同じ形にしたい。そう考えて使ったのが、国(国土地理院)が公開している「標高データ」です。

標高データとは、土地の高さを数字で記録したものです。日本の土地を5mごとに区切り、それぞれの場所が海面からどれくらい高いかが入っています。この数字を Roblox の地形に置きかえれば、本物の起伏(土地の高い・低い)がゲームの中に現れるはずです。

まずは木津川市のあたりを、最初の実験台にしました。

標高データを色分けした木津川市あたりの図。白いところほど高く、濃い緑ほど低い。出典:国土地理院
標高データを色分けした木津川市あたりの図。白いところほど高く、濃い緑ほど低い。出典:国土地理院

うまくいかなかったこと

ところが、すんなりとはいきませんでした。

1. 別の場所の地形が出てきた 標高データは、大きな地図を小さな四角に分けた「タイル」という形で配られています。一つの市の分だけでも、数十枚のタイルを並べてつなぎ合わせる必要があります。どのタイルを使うかは、地図の上の位置から計算して決めます。この計算をまちがえると、まったく別の場所の地形が出てきてしまいました。地図の位置とゲームの中の位置の置きかえで、プラスとマイナスや、かける数をまちがえやすかったのです。

2. つなぎ目に線が見えた タイルとタイルのつなぎ目に、わずかな段差ができて、ぬい目のような線が見えました。タイルを1枚ずつばらばらに計算していたので、となりのタイルと高さがぴったりそろわなかったのが原因です。

3. 山が低く見えた 高さの数字をそのまま使うと、ワールドの広さにくらべて山が低く、のっぺりと見えました。地図の「メートル」を、ゲームの中の長さの単位に置きかえるときの割合を、どうするかが決まっていなかったためです。

どう直したか

まず、タイルを1枚だけ使って、位置の計算が正しいかを確かめました。1枚で正しく出せるようになってから、枚数を増やしました。

次に、たくさんのタイルを一つの大きな表のようにまとめ、全部を同じやり方で計算するようにしました。つなぎ目の段差は、となり合うタイルのさかいめの高さを平均して、なめらかにつなぎました。

山の高さの見え方は、仮の割合で地形を出してみて、制作者が見て判断する、ということを何回もくりかえして決めました。

こうして何日もかけて、ゲームの中に「それっぽい」木津川市の地形が現れました。

学んだこと

  • 本物の地図をゲームに持ちこむときは、「地図の位置」と「ゲームの中の位置」の置きかえが、いちばんまちがえやすいところでした
  • 大きな問題は、小さく分けて確かめるのが近道です。1枚のタイルで正しく出せることを確かめてから広げたことで、原因を見つけやすくなりました
  • つなぎ目のような小さなずれも、ゲームの中では目立ちます。となりとのつながりを考えて計算する必要がありました

ゲームの中の山や谷は、だれかが想像でかいたものではありません。本物の地図のデータから来ています。そう思って歩いてみると、いつもの景色が少しちがって見えるかもしれません。

ワールドづくりは、まだ始まったばかり

地形ができても、まだ街にはなりません。次回は、その上に道路をつくった話です。題して「なめらかな道路を作るまでの長い道」。お楽しみに。

木津川市メタバースプロジェクトで運営チームが担当した内容は、事例ページで紹介しています。プロジェクトのほかの情報は、公式サイトのトップページをご覧ください。