制作記録

【制作の裏側 5】基本の街並みを「目立たない色」にするまで

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「制作の裏側」は、メタバースまちづくりプロジェクトの運営チームが、ワールドや公式サイトをつくる中で考えたことや、うまくいかなかったことを紹介するシリーズです。5回目は、運営が用意する「基本の街並み」の建物の色を、3回作り直したときの話です。

なぜ、色を控えめにしたいのか

このプロジェクトでは、ふつうの家やビルなどの「基本の街並み」を運営が用意し、お寺や駅、お店など「街の顔」になる場所を、子どもたちの作品としてつくってもらいます(くわしくは1回目の記事で紹介しています)。

子どもたちの作品は、色も形もさまざまになるはずです。そのとき、まわりの家やビルまであざやかな色だと、作品がまわりにまぎれて見えにくくなります。そこで制作者は、基本の街並みの建物を「作品より目立たない色」にしたいと考えました。主役は子どもたちの作品で、基本の街並みはそれを引き立てる役、という考え方です。

1回目:指定どおりの色でぬった

最初の依頼書には、とても細かい指定が書かれていました。壁の色は4種類、屋根は2種類、窓は1種類。それぞれの色を数字で決め、「どの建物にどの色を使うかは、決まった計算でばらばらに割り当てる」という内容です。

建物をつくるチームは、AI(Claude Code)と一緒に、この指定どおりに作業しました。建物を「壁・屋根・窓」の3つの部品に分け、表面にはってあった絵(テクスチャ)を外して、指定の色で1色にぬるしくみです。窓の絵がなくなるマンションやビルは、窓を立体で作り直しました。色を割り当てる計算では、「壁がAの色の建物は、屋根もかならずAの色になる」というかたよりが見つかり、2回直しました。

運営がつくった、1回目に使った指定の色の見本。壁・屋根・窓の色の一部
運営がつくった、1回目に使った指定の色の見本。壁・屋根・窓の色の一部

ところが、できあがった建物を Roblox(ロブロックス)の中に入れてみると、全部が同じような灰色に見えました。制作者の感想は、こうでした。

あくまでも色を抑えて目立ちすぎるのをやめたいのが目的で、均一の灰色にしたいわけじゃない

依頼書の数字を正確に形にすることを先にして、「目立たせない」という本来の目的に合っているかを、作りこむ前にたしかめていなかったのです。言葉どおりに作っても、依頼した人が思いえがいていたものになるとはかぎりません。

2回目:くらべる画像を見て決めた

そこで今度は、作りこむ前に、2つの案を並べた比較画像をつくって、制作者に見てもらいました。

  • A案:指定の色で1色にぬる(1回目のやり方)
  • B案:もとの表面の絵を残したまま、色のあざやかさ(彩度:さいど)だけを下げる

選ばれたのはB案です。B案なら、壁の模様や窓の絵はそのまま残ります。建物の形や部品は変えず、表面の絵だけを「あざやかさを下げた版」に入れかえます。

はじめは、あざやかさを元の30%にしました。すると「もう少し色を残して」という声があり、55%にしました。

3回目:白っぽくしたら、模様が消えた

次の注文は「もうちょっと白っぽくできる?」でした。

コンピューターの画像は、明るさを0から255までの数字で表します。最初は、全体の明るさを1.2倍にしてみました。すると白い壁では、ほとんどすべての点が上限の255にはりついてしまいました。もともと明るい部分は、1.2倍すると255をこえてしまい、こえた分はみな同じ255になるからです。その結果、壁の継ぎ目の模様が消えて、のっぺりした白い面になりました。

そこで、明るくする計算を「ガンマ補正(ほせい)」に変えました。暗い部分ほど大きく明るくし、明るい部分はあふれさせない計算です。上限にはりつく点は0%になり、模様も残りました。たとえば茶色いタイルのマンションは、明るさの平均が80から140になりました。

最後に、色を白に近いグレーへ少し寄せ、真っ白・真っ黒にはならないように整えました。こうして、運営が用意する建物30種類すべてに、控えめな色の版を作りました。色の抑えぐあいは、プログラムの1か所の数字を変えるだけで調整できるようにしてあります。地図に合わせて街に自動で並べる建物には、この控えめな色の版を使っています。

運営がつくった基本の街並みの建物。左が元の色、右が最終的な控えめな色。表面の模様を残したまま白っぽくしている
運営がつくった基本の街並みの建物。左が元の色、右が最終的な控えめな色。表面の模様を残したまま白っぽくしている

この経験から決めたこと

  • 作りこむ前に、比較画像で見てもらい、目的に合っているかをたしかめる
  • 画像を明るくしたときは、明るい部分の模様が消えていないかを、数字でたしかめる

作品をつくるときのヒント:「街の顔」の色と形を考えてみよう

まわりの基本の街並みが控えめな色なので、みなさんの作品は、その中で目立ちやすくなります。あなたがつくりたい「街の顔」は、どんな色や形でしょうか。赤い鳥居のお寺、明るい色の駅、楽しい形のお店。街の中に建ったところを思いうかべながら考えてみてください。

なお、どれが子どもたちの作品かは、色ではなく「看板」で見分けます。看板が立っている建物が作品です(1回目の記事)。

次にすること

作品の応募は、保護者などの大人が会員登録をして行います。会員登録と作品応募を、受付中です。作品を置く場所は、京都府の木津川市・精華町・京田辺市と、奈良市(西部)から選びます。

1. まず作品応募ガイドラインで、作品の決まりを、おうちの人と一緒に確かめる 2. 「みんなでつくる」ページで、参加の流れを見る 3. 地域ワールドのページで、各地域の今のようすを見る

プロジェクトのくわしい説明は、「プロジェクトについて」のページにあります。