制作記録

【制作の裏側 2】ショッピングモールが「研究棟」になっていた話

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「制作の裏側」は、メタバースまちづくりプロジェクトの運営チームが、ワールドや公式サイトをつくる中で考えたことや、うまくいかなかったことを紹介するシリーズです。2回目は、街の建物を自動で並べるしくみの中で見つかった、小さな「まちがい」の話です。

建物は「しくみ」が自動で並べている

このプロジェクトでは、家やビルなどの「基本の街並み」を運営が用意しています(1回目で紹介しました)。

街には、何万もの建物があります。1つずつ手で置いていくことはできないので、コンピューターのしくみ(プログラム)が自動で並べています。

そのとき使っているのが、OpenStreetMap(オープンストリートマップ)という、世界中の人がみんなで作っている地図のデータです。この地図には、建物の形や大きさのほかに、「これは住宅です」「これはお店です」といったラベルがついています。

しくみは、このラベルを読んで、建物を「家」「マンション」「お店」などのグループに分けます。そして、グループごとに用意した3Dモデル(立体の建物の形)の中から選び、地図と同じ場所に置きます。3Dモデルには、グループごとに「ここまでの大きさにする」という上限も決めてあります。

気づいたこと:あれ、ここはショッピングモールのはず

奈良市のマップをつくったあと、制作者がゲームの中を歩いて、できぐあいを確かめていました。そのとき、こんなことに気づきました。

金魚ミュージアムのとなりに、ミ・ナーラっていう大きなショッピングモールがあるはずなのに、立っているのは研究棟みたいな細長い建物だよね?

地図のデータを確かめると、ミ・ナーラの大きさは、たて・よこ約128m×123mと、正しく入っていました。ところがゲームの中では、約55m×34mの、研究所のような建物に変わっていたのです。

地図にある本来の外形(約128m×123m)と、置かれていた建物(約55m×34m)を同じ縮尺でくらべた図
地図にある本来の外形(約128m×123m)と、置かれていた建物(約55m×34m)を同じ縮尺でくらべた図

それまで、しくみはどこにも「おかしいよ」という知らせを出していませんでした。人の目で見て、はじめて分かったまちがいでした。

原因:ラベルを読む「順番」がちがっていた

まず、地図のデータがまちがっているのかを調べました。データは正しく、モールには2つのラベルがついていました。

  • 「商業用の建物(お店や会社が入る建物)」というラベル
  • 「ここはショッピングモールです」というラベル

ところが、しくみは1つ目のラベルを先に読んでいました。そして、「商業用で、とても大きい建物は、研究所のグループに入れる」という決まりにあてはめてしまいました。研究所のグループの3Dモデルは、大きさの上限が55mです。そのため、128mあるモールが、55mの研究所に縮められてしまったのです。

本当は、「ショッピングモールです」というラベルのほうが、その建物が何に使われているかを、はっきり表しています。どのラベルを先に信じるか、その順番を決めるのは、しくみをつくる人間です。今回は、その順番の決め方に穴がありました。

直したこと

しくみを2か所直しました。

1. 「ショッピングモールです」「デパートです」というラベルがある建物は、いちばん先に「お店」のグループに入れる 2. 「お店」のグループの大きさの上限は、ふだんは60mのまま。ショッピングモールのときだけ、150mまで大きくできるようにする

コンビニなどの小さなお店は、これまでどおりです。まわりの建物や道路とぶつからないようにするしくみは別にあるので、上限を大きくしても、はみ出すことはありません。

このまちがいで形が変わっていたのは、奈良市のマップではミ・ナーラ1棟だけでした。原因を調べてしくみを直すまでは、およそ25分でした。このあと街をつくるときには、同じまちがいが起きないようになっています。

学んだこと:1つの「なんかおかしい」は強い

地図のデータが正しくても、それをどう読むかで、街の姿は変わります。

何万もの建物を自動で並べるしくみでも、たった1つの「なんかおかしい」という気づきから、穴が見つかりました。数字やグラフを見ているだけでは分からないことが、実際に街を歩いてみると分かることがあります。

本物と同じ大きさ・形を、意識してみよう

あなたの街の「顔」はどこですか。駅、お寺、学校、お店。つくってみたい場所が決まったら、本物の建物の大きさや形をよく見てみましょう。横に長いのか、高いのか、まわりの建物とくらべてどうか。そこを意識するだけで、作品はぐっと「その街らしく」なります。作品の大きさは、置く場所に合わせて運営が調整します。ガイドラインのほかの決まりも、つくり始める前に確かめてください。

作品の応募は、保護者などの大人が会員登録をして行います。会員登録と作品応募を、受付中です。作品を置く場所は、京都府の木津川市・精華町・京田辺市と、奈良市(西部)から選びます。

次にすること

1. おうちの人と一緒に、「みんなでつくる」ページで参加の流れを見る 2. 作品応募ガイドラインで、つくれる作品の決まりを確かめる 3. 地域ワールドのページで、各地域の今のようすを見る

プロジェクトのくわしい説明は、「プロジェクトについて」のページにあります。シリーズの前の回は【制作の裏側 1】「何もない街」から始める計画を、やめましたです。